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【寝言】うっとり~鬱陶しい

武内義雄「富永仲基に就いて」

春宵のつれづれを紛らわそうと、武内義雄全集本を開いていると「富永仲基に就いて」という文中に、富永仲基の言の三物の内のひとつ言の類を解説してその中の「反」(時代で意味が反転するの意)の例として「鬱陶」を挙げて本来は楽しむの意であったが後に意味が反転したというようなことを書いてあるのを見ました。実際、字引(角川新字源)をひくと楽しむの意が出ています。

これを読んで「うっとりする」というのが、鬱陶の古い意味から出ているのではないかと推測しました。鬱の字は元々の象形文字的には鍋から湯気が立って匂いが広がっているような字であるし、鬱陶しい長髪のヒッピーが脱法ハーブの煙を吸って気持ちよくなってうっとりしている情景が目に浮かびます。


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単語の意味の反転といえば、最近では若者言葉の「ヤバイ」が悪い意味の形容詞からいい意味を表すようになり、最後には符号も失って絶対値として程度の甚だしいことを指すように変じた例を思い出します。

また故マイケル・ジャクソンのヒット曲の「bad」も当時のミュージッシャン俗語で「good」なことを「bad」と言うんだと解説されていたことも思い出します。

もはやコール・ポーターの anything goes の歌のようです。


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それにつけても、清朝考証学的な手法に手詰まり感を覚えていた武内義雄内藤湖南が講演で紹介した富永中基の本を読んで加上の法則に光明を得たという叙述に合点を覚えるところがありました。

Bad

Bad

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