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【メモ帳】第五元先という奇妙な名前

鄭玄の先生

秋も深まってきて、またぞろ武内義雄支那思想史を読んでおりました。面白いので何度読んでも飽きません。戦前の学術の水準の高さよ。でも何度も読んでいると細かいところが気になってきます。

第十二章 後漢の経学 に、鄭玄ははじめ第五元先に師事して今文学を修めたとありますが、この「第五元先」は支那人としては奇妙な名前なので前から気になっておりました。

狩野直喜中国哲学史(戦後の岩波書店刊なので支那を使っていないw)には「第五元先に従い京氏易・公羊春秋・三統暦・九章算術等を学び、又、張恭祖より周官・礼記・左氏春秋・韓詩・古文尚書を受けた。」とあります。はじめに斉系統の今文と割と新しい暦法と数学を学んで、当時流行の古文の系統も学んだようです。

ネットで検索すると、以下の様なものが引っかかります。

ja.wikipedia.org

zh.wikipedia.org

『潜夫論』および『後漢書』によると、戦国時代の斉の田氏の子孫が、前漢時代に関中に移されたとき、人口が多かったため、第一氏から第八氏までに分けたという。

ということで、ずいぶん雑な姓のつけ方です。中国版のページを見ると、「元先」の「先」の字の無い記録もあるようで、本当は第五元なのかもしれません。

追記:R3.10.25

後漢書に第五倫伝があって、そこに第五一族の名が出てきています。みな姓二文字+名一文字の計三文字です。第五元は鄭玄伝の所に登場しますが、第五倫伝の方には出てきません。先は衍字なのかもしれません。

イメージ画像:DAIGO https://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FGrape%252FGrape_881907_f8fb_1.jpg,quality=70,type=jpg