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【寝言】最近の盗掘竹簡と論語の成立事情

盗掘竹簡

この頃、佐藤信弥「中国古代史研究の最前線」を電車の中で読んでいましたが、とても面白かったです。落合淳思の殷代甲骨文に対して、西周金文が専門のようで、とても興味深く読めました。

一番興味深かったのは、漢代の武帝の少し後に即位し、悪宦官霍光によって廃された廃帝の墓からでた論語に、現行論語には無くて斉論にしかないとされる知道篇があったという所で、続報が是非とも知りたいところです。漢の武帝はオカルト好きで、オカルトと親和性の高い斉方面の儒者を贔屓にした点に鑑みてありうるかなと思えます。

近年、支那大陸では盗掘が盛んで得体のしれない竹簡がゾロゾロと闇市に出回っているようで、それを公的な博物館や国立大学などが買い集めているようです。マルクス=レーニン主義唯物論に基づけば、祟りも不敬も関係ないようです。レーニン廟からレーニンのミイラが盗まれる日も遠くないでしょう。

支那人は文字を崇拝して、文盲の苦力ですら道端に文字の書いてあるたばこの包み紙が落ちていると、それを拾って大事にすると、戦前の支那通の人が書いていますが、そのせいか支那人には考古学的な資料が出ても司馬遷史記を優先するような傾向がありましたが、昨今は高い金を出して盗掘品を買いあさって元を取る気になったか、その辺も変わってきているようです。


以前は、浅野祐一、湯浅邦弘が熱心に新出土竹簡の真正性から論じて、内容を紹介していましたが、新しい世代は真正性は良しとして、より内容に踏み込んで論じるようになっているようです。

新しい世代は、長きにわたったマルクス主義の軛から解放されて、のびのび明快に論じているのが気持ちよいです。

浅野・湯浅本などによると、盗掘された竹簡は水に浸ってブヨブヨになっているとかで、支那そばの上にのってる支那竹みたいなものかと空想していましたが、「中国古代史研究の最前線」には、泥に埋もれたチャーシューの塊のような写真が載っていました。

古代中国の宇宙論

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諸子百家「再発見」―掘り起こされる古代中国思想

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諸子百家 (講談社学術文庫)

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湯浅邦弘の論語本も、冒頭に論語の成立事情に関して、最近の盗掘竹簡の知見を交えつつ論じていますが、「中国古代史研究の最前線」はこれよりも竹簡に関しては新情報が載っているようでした。

論語 - 真意を読む (中公新書)

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