春秋分点
秋分を迎えてようやく暑さも和らいできました。この調子で冬至の頃には大寒波が来てくれると嬉しいデス。
電子計算機での8進法利用はフォン・ノイマンから?
暇つぶしにちくま学芸文庫の『フォン・ノイマンの生涯』(原著者 Norman Macrae)を読んでいたのですが、第12章「フィラデルフィアのコンピュータ」中で、フォン・ノイマンが 1945 年にゴールドスタインに宛てた手紙で、十進法や二進法ではなく8進法利用の提案をしているところが引用されていました。メモとしておきます。
昔の計算機は、8進法 3 bit が基本で 6 bit をバイトのような基本単位としているものが多く、IBM 704 も一語 36 bit で 6 bit の文字コードを利用していたので、一語に 6 文字入れる関係で FORTRAN の変数名は 6 文字までになっておりました。その後 IBM360 が現在に続く 1 byte = 8 bit、一語 = 32 bit、16進法利用を広めてそちらが主流になりました。NEC の ACOS-6 シリーズなどは GE の計算機の末裔なので 90 年代まで 一語 = 36 bit を守っておりましたが。
COBOL のおばちゃまことグレース・ホッパーのプログラム言語創成期の思い出話では、小切手計算が合わなくて銀行員の兄弟に検算してもらったら日常計算でも8進法で計算していたせいだったという笑い話が出てくるので、 1950 年代には8進法が普通になっていたようです。
第13章「プリンストンのコンピュータ」の中で、
プログラミングが数学問題の単なる翻訳ではなく、「目的への進み方を制御する動的な枠組みをこしらえる技術」で、だから「形式論理学の新しい一分野になるべきもの」
という記述があり、フォン・ノイマンはプログラムに関して、スタティックな数学形式に還元しようとする関数型言語的な前提より、動的な形式論理という広い考えを持っていたようです。(孫引きの翻訳なので当てになりませんがw)
『フォン・ノイマンの生涯』は、だいぶ昔に新書版で読んだはずなのですが、文庫版の方が読みやすかった気がします。微妙に改訳したせいかもしれませんが、本の内容をよく覚えていなかったので気のせいかもしれません。前に読んだ時は、ヒルベルトの元での形式論理学の発展に興味があったので、後半のアメリカ時代は斜め読みした気もします。新書版は本棚の奥の方にやったか、古本屋に売ったか手元に見当たらないので、比較できませんでしたw
なおこの本では、キューブリック映画の「博士の異常な愛情」に出てくるドイツ訛りの車椅子の博士は、癌にかかって車椅子で活動していたフォン・ノイマンがモデルだとしています。(以前、ハーマン・カーンがモデルであるという説を記事に書きました。)
核開発の場所としてロス・アラモス研究所があるのに、ほど近くにローレンス・リバモア研究所ができたのは、核兵器開発の遅さに業を煮やしたエドワード・テラーとアーネスト・ローレンスが水爆研究用にもう一個核研究所を作れと米政府に具申しためとされています。
それにつけても反ソ反共を黙々と進めるフォン・ノイマンの良識を我々も見習わなければいけませんね!暴支膺懲!