Norman S. ClermanoとWalter Spectorによる新刊「Modern Fortran: Style and Usage」をざっと斜め読みしたので感想をば。
著者の一人は光学設計をやっていて、もう一人はCrayに勤めていた人のようです。202条ばかりのコーディングルールを示し、その一つ一つに説明を加える形式になっています。コーディングルールは、内容ごとに章に分けられて15章ばかりになっています。プログラム例も豊富にあげられています。(多少本質的ではない誤りも見受けられますが。)
タイトルのModern Fortranですが、Fortran2008規格が出て以降、Fortran2003以降のFortranをModern Fortranと言うようになってきているようです。
単なるスタイル本というよりは、Fortranの規格で誤りやすい落とし穴を指摘して、それを避けるような書き方をルールにしているので、落とし穴の勉強のためになります。
OOPに関する章に興味があったのですが、1章ばかりOOPに当てられています。また巻末付録にOOPのプログラム例を載せています。Fortranには初期化をするコンストラクタが完全な形では存在しないので、確たる自然なスタイルのがあるのか、なんだかよくわからないものがあります。もう少し読み直して勉強したいと思います。
coArrayを含む、並列化に関する章もありましたが、それほど詳しいものではありません。
規格を読んでも気づきにくい落とし穴とその回避法を多数書いてある面白い本だと思いました。