フランツ・キュモン「ミトラの密儀 」
先日、本屋を覗いて見ますと、ちくま学芸文庫の新刊としてフランツ・キュモンの「ミトラの密儀 」が出ていました。
- 作者: Franz Val´ery Marie Cumont,フランツキュモン,小川英雄
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2018/10/11
- メディア: 文庫
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- 作者: フランツ・ヴァレリ・マリキュモン,Franz Valery Marie Cumont,小川英雄
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1993/11/01
- メディア: 単行本
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これにより、絶版で高騰していた単行本の古本相場が値崩れしてしまいました。おまけに、同じく絶版で古本価格が高騰していた同著者・同訳者の「古代ローマの来世観」まで値崩れしてしまいました。こちらも近く文庫化されるのか、それとも自動古本値付けアルゴリズムの影響なのか、注視してゆきたいと思います。
- 作者: フランツ・ヴァレリ・マリキュモン,Franz Val´ery Marie Cumont,小川英雄
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1996/06/01
- メディア: 単行本
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- 作者: 小川英雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2003/10
- メディア: 新書
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フランツ・キュモンは、帝政古代ローマ期の非ユダヤ・キリスト教の宗教の研究家で、それまで反ユダヤ・キリスト教の邪教として否定的に捉えられることの多かった、その他の宗教を客観的な立場から研究したことで、新たな地平を切り開いたとされる人です。
ミトラ教は、多神教から一神教への過渡期にの形態を持ち、帝政ローマ期に中流専門職男性などに信仰されたようです。ペルセウスによる牡牛殺しのモチーフを持っています。
牡牛殺しのモチーフは、地球の地軸の歳差運動による春分点の移動が発見されて、かつて春分点がおうし座から牡羊座に移ったということを秘密に象徴化しているという解釈がもっともなようです。多神教的な神々の座す不変不動の恒星界そのものを動かす、より大きな神が居るというのが、密儀の中心命題だったのでしょう。(ただしキュモンの時代にはまだこの解釈は出ていません。)
春分点の移動は約二万六千年で一周するので、12星座で分けると、一星座当たり二千年強の時間となります。AEONに相当するものと思われます。アメリカでショッピング・センターが凋落傾向にあるように、ジャスコ岡田のイオンも早く滅んでもらいたいものです。
帝政ローマで空前のオカルトブーム
キリスト出現は、春分点のうお座への移動が起きた頃だったので、今では忘れられていますが当時は魚がキリストのシンボルになっていたようです。なお、紀元前後の帝政ローマ時代は、一般庶民のあいだでは空前のオカルト・超能力・新興宗教ブームで、キリスト以外にも奇跡や超能力、瞬間移動、おちんちんが黄金で出来ている、同時に二か所に出現する、動物とおしゃべりできるなど滅茶苦茶奇跡の大安売りです。超能力のネタが時空を超えて代り映えしません。
最初期のキリスト教のおばちゃん達を尋問した常識的教養人の小プリニウスは、いくらおばちゃんの話を聞いても出鱈目すぎて何を言ってるのか分からんというような報告を残しています。
最初期は無教養なおばちゃん達にしか受けていなかったキリスト教もいつの間にか中年男性教父に乗っ取られているのが謎です。
イエス・キリストは、ニート暮らしで30歳になった後、私は神の子・地上の王だと言い出して、たった3年で死刑になったわりに、その後の影響力の強さに驚かされます。オカルトブームに乗った一神教恐るべしです。その背後に、多神教の神の世界全体を動かす真の神、地球の歳差運動ありで、角運動量や磁気量子数も馬鹿に出来ません。球面調和関数を舐めまわしたくなります。
耶蘇の精霊と支那の鬼
ところでキリストと神と精霊の三位一体の同一性の理屈は、人間宣言をした天皇陛下が同時に神でもあるとする説明に応用できると思いますが、精霊が何なのかさっぱり分かりません。
精霊がもし、ギリシア人のいうダイモーンのように、神と人間を媒介するものだとすると、先秦・六国の頃の支那人のいう鬼に相当するものかもしれません。ここでいう鬼は、日本の鬼では無くて、支那の鬼で日本でいえば幽霊やお化けの類です。
孔子などは天命は自明で誰でも当然分かるものだと思っていたようですが、時代が下ると、「いや、俺、天の声聞いたことないし~。あんた聞いたことあるの?」と反論されてギャフンと困ったようです。それで、「天は偉いので、直接語り掛けないが、手下の鬼が代わりに伝えにくるのだ。」という言うような中間媒介論が出てきたようです。墨家などは有鬼論を盛んに擁護しています。(追記:天命は無いが天志を鬼が伝える?)
このへんは忘れ去られていますが、無鬼論・有鬼論はかなりの争点になっていたようです。結局、「俺、鬼なんか見たことも会ったことないし~」という無鬼論が勝ったようですが、鬼を否定するとモラルが崩壊すると鬼が無鬼論者に警告に来る怪談などに痕跡を残しています。
人間精神の自我の発達とともに、無意識層が抑圧されて、良識や良心が薄れてゆくことを象徴しているようです。発達障害・アスペ系の屁理屈弁護士活躍時代の到来です。
みずがめ座の時代
現在はみずがめ座への春分点移動が起こっているとされ、新時代が来ると歌う the 5th Dimension のみずがめ座の時代の大ヒットにつながっています。
The Fifth Dimension - Aquarius - Let The Sunshine In - Bubblerock Promo
Engelbert Humperdinck - Aquarius & Let The Sunshine In (Live)