#本田悦朗『アベノミクスの真実』より
五月の連休中に暇つぶしに安倍内閣のブレーンの一人だという本田悦朗氏の『アベノミクスの真実』という本を読んでみました。ネット・新聞・雑誌等で聞いたことがあるようなことしか書いてない感じでしたが、本の最後の最後に今まで目にしたことがないことが書いてありました。
それは「国際政治のトリレンマ」というもので、ハーバード大のダニ・ロドリック氏が唱えているものだそうです。
国際金融のトリレンマならば、近年よく目にするものですが、国際政治にも対比できるものがあるという主張のようです。 国際金融のトリレンマとは、
- 固定相場制
- 独立した金融政策
- 自由な資本移動
の三つは独立ではなく、このうち二つしか選べない(すなわち自由度2)というものです。現実世界でよく成り立っているようです。
国際政治のトリレンマとは、
- グローバル化
- 国家主権の維持
- 民主主義
の三つは同時に成り立たたず、二つしか同時に選べないというものです。
この考え方を安倍内閣のブレーンが取っているとすると、このうちのどの二つを選んでいるのかが重要になってきます。
著者はこのトリレンマを紹介すると同時に、 TPP とは1と2を同時に追求する物だと断言しています。そして前後して、国家主権の制限や、民主主義の不足があってはならないとも言っています。これを見るに、国家主権を護持しつつ、民主主義を少し削って妥協した範囲で、グローバル化をするというところでしょうか。
最近、子供向けアニメなどでは『グローバル』という言葉は、悪役がうそぶく悪いイメージの言葉になっているようですし、個人的には、グローバル化とやらは「明日からやる!」と言いつつ、だらだら引き伸ばして、のらりくらりとかわしてやらないのがよろしいと思います。