fortran66のブログ

fortran について書きます。

ベーカー・キャンベル・ハウスドルフの公式

Baker-Campbell-Hausdorffの公式という、Lie群を勉強していると出てきて、証明するのがとても難しい代物があるのですが、その易しい証明があるということを先日知りました。

具体的な展開式は与えられないので、御不満も御座いましょうが、とりあえず知っているとうれしい人も多いと思うので、ここにメモっておきます。

M.Eichler "A new proof of the Baker-Campbell-Hausdorff formula", J. Math. Soc. Japan 20,23-25 (1968).

この論文では、展開項がLie代数の元で表されることのみを示しています。どういう項が現れるかは示されません。実質2ページほどで、初歩的な代数計算のみで証明しています。

[追記H30] Naive Lie Theory という本で1節かけて説明してくれているようです。

Naive Lie Theory (Undergraduate Texts in Mathematics)

Naive Lie Theory (Undergraduate Texts in Mathematics)

具体的表式

具体的な表式も含んだやや面倒な物理数学的な証明は以下の本にあります。
窪田高弘『物理のためのリー群とリー代数 臨時別冊・数理科学sgcライブラリ 66』
[追記:H30]この本の証明は、Lie群と表現論にあるものと同じです。

リー群と表現論

リー群と表現論


量子力学I

量子力学1 (KS物理専門書)

量子力学1 (KS物理専門書)

[追記:H30]この本の証明は本質的に、以下の黒木氏のページのものと同じです。こちらの方がより簡潔になっています。
https://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/LaTeX/20081010_Baker-Campbell-Hausdorff.pdf

・補足記事 H30/3/12
fortran66.hatenablog.com


・補記 H22/8/19
元々 Baker, Campbell そして Hausdorff が示したのは、$e^Ae^B=e^C$のとき、Cが$A+B$のほかA,B及び交換子からなる式で表されるということで、具体的な表式は示さなかったようです。C の具体的な一般式はソビエトの Dynkin が初めて出したようです。(原論文を見たわけではなく、ほかの論文のイントロの受け売りですが・・)

[追記:H30]
・テレンス・タオによる概説
terrytao.wordpress.com

[追記:R1]
竹内外史の本から
fortran66.hatenablog.com