ブライアン・グリーン (著) 宇宙を織りなすもの――時間と空間の正体 (上・下)
お盆休みの暇つぶし用に買ったんですが、面白くて斜め読みでさっさと読んでしまいました。90年ごろ書かれたペンローズの本とかバローの万物理論とかのどこか悲観的な感じに比べて、楽観的な調子で読後感もいいです。アメリカ的というべきか、20年間の進歩のあかしというべきか。
ビッグバン的な一回限りの宇宙観ではなく、永劫回帰的な円環宇宙論が出てくるのが興味深かったです。古代人の宇宙観に帰ると、定常宇宙をふくめて基本的アイデアは3つ?
マッハ原理に関する、物体の相対関係への還元と、バケツの水がへこむかどうかという問題がずっとすっきりしなかったのですが、分かった気がしましたw
一方、時間の矢をエントロピー増大に還元してよいものなのか、まだよく納得がいきません、部分系のエントロピーを減少させることは可能ですが、それはその部分系の時空を逆行して遡らせるというより、時空に鏡映構造や繰り返し構造が現れるだけのような気がします。個人的には、時間の矢の原因は波束の収縮の方がもっともらしい気がします。その場合「過去ー現在ー未来」という流れの関係での「現在」というものの定義を、状態の確定という意味と置くと、「現在」とは時空上の等局所時間面とは無関係に波束収縮の時点になるような気がします。時間の流れということの定義をあまり深くは考えたことはなかったのですが、本にあった絵画売買のエピソードに対応していたので、少し興味深く読みました。
孔子の川上の嘆w